「共同注意」「三項関係」と言う言葉を聞いたことはあるでしょうか。視線の合いにくさやコミュニケーションの苦手さを調べているとよく出会う言葉です。共同注意と三項関係の解説についてはこちらを
MENU
共同注意を育む関わり
−二項関係を大切に育もう
−子どものペースで遊ぼう
二項関係を大切に育もう
−『私とあなた』が大切な理由
−『私とあなた』から三項関係へ
子どものペースで遊ぼう
−無意味な遊びの意味を見つける
−『私と物』から三項関係へ
「こっちをみて!」と言って視線が合わせられたり、「これをみて!」と言うだけで見てくれるのであれば保護者も支援者も悩みません。共同注意がすぐに獲得できるトレーニングは残念ながらありませんが、日々の関わりをコツコツ積み上げていきましょう。
二項関係を大切に育もう
二項関係は三項関係を獲得する前ステップです。共同注意や三項関係の理解がまだ難しいステップでは、二項関係を大切に育てていきましょう。特に育みたい力は。スキンシップ遊びを始め、いないいないばぁやまてまて遊びなどから大切に育みましょう。
子どものペースで遊ぼう
おもちゃにはそれぞれ使い方があるので大人はついつい正しい使い方で遊びがちです。しかし、おもちゃの仕組みを理解して遊ぶ事は三項関係の理解が難しい段階ではまだできません。積み木を積むだけ、車のタイヤを回すだけ。そんな行動にも子どもなりの楽しさがあるのかもしれませんね。まずはその楽しさを共有してみましょう。
『私とあなた』が大切な理由
二項関係の中でも特に育みたい力は『私とあなた』の関係であると述べました。さて、なぜでしょうか。Aさん(私)、Bさん(あなた)、桃太郎の本(物)と言う3つで三項関係を作りたいと仮定します。
『私と物』に『あなた』が入るとき
Aさんは桃太郎のお話が大好きで熱中して本を読んでいます。そこへBさんが「一緒に見よう?桃太郎は何から生まれたのかな?」と話しかけてきました。
『私とあなた』に『物』が入るとき
AさんはBさんの事が大好きで楽しく遊んでいます。そこでBさんが「私、桃太郎のお話がとても好きなの」と本を取り出しました。
この記事を読んでくれている貴方がAさんなら、どちらがBさんと本を読みたいな、となりますか?
後者の方が多いのではないでしょうか。『私と物』の二項関係が強くある時、第三者の『あなた』が関わろうとするとまだ3つの関係を同時に認識することが難しい子どもにとっては邪魔な存在になってしまう可能性があります。『私とあなた』の二項関係が強くある時、注目している『あなた』が『物』に興味を示すと物を介したやりとりが生まれやすくなります。
『私とあなた』から三項関係へ
それでは具体例にどのように遊びを通して関わりを広げればよいでしょうか。
例)いないいないばぁ(子ども、大人、ぬいぐるみ)
まずは子どもと沢山いないいないばぁ遊びを楽しみます。子どもが貴方と遊ぶことを楽しんでいる様子があれば、ハンカチなどアイテムを使ってみましょう。ハンカチで一人遊びを始めず貴方と遊ぶことを楽しんでいる様子があれば、ぬいぐるみなどにハンカチをかけて「いないいないばぁ」としてみます。
例)スキンシップ遊び(子ども、大人、電車)
まずは子どもの体を「トコトコ」と指を走らせスキンシップ遊びを楽しみます。昔ながらの一本橋こちょこちょ等でも良いですね。子どもが貴方と遊ぶことを楽しんでいる様子があれば、「ガタゴト」など言いながら、体を走らせる物を電車等のおもちゃに変えてみます。嫌がる様子やおもちゃで一人遊びを始めることがなく貴方と遊ぶことを楽しんでいる様子があれば、線路を走らせ遊びを発展させてみましょう。
無意味な遊びの意味を見つける
前述の様に積み木をひたすら積むだけだったり、車のタイヤをくるくる回すだけなど、子どもは夢中になっているけれど「こうやって遊ぶのよ!」と言いたくなることはありませんか?けれどそれをしてしまうと、『私と物』の世界で楽しんでいる子ども邪魔をしてしまいかねません。まずは子どもが楽しんでいる事を受け止め一緒に楽しんでみましょう。そうすれば、何が楽しいのか見えてくるかもしれません。
『私と物』から三項関係へ
例)積み木を1列に並べている
このような時「ほら、お家ができたよ!」 など積み木で何かを作ってみたくなりませんか?それは共同注意のスキルが育ってからが良い関わりです。
まずは子供と同じ目線になって積み木を一緒に並べてみましょう。子どもが寝そべっているなら一緒に寝そべってもいいですね。その中で、大人が1つ置く→子どもが1つ置くなどやりとりを促してみたり、指人形を使って「椅子があるぞ〜」など見立ててみても良いでしょう。子どもが興味を示している様子があれば、その遊びを続けてみます。興味を示さなければ、その日は一緒に積み木を並べて「きれいに並べられたね!」でも良いのです。
例)車のタイヤをくるくるしている
「ブーンって走らせてごらん」と車を取ったり手を持って促してはいませんか?
まずは子供と同じ目線になって「くるくる〜」と回してみましょう。車が好きなのであればこっちの車はどう?と別のものを渡したり、こうしてもくるくるするねと地面を走らせながら回るタイヤを見てみたり。くるくるが好きなのであれば、こっちもくるくるするよ〜と風車のようなものを回してみたり。興味を示しているならその遊びを続けてみます。興味を示さなければその日は「くるくる回って楽しかったね」で良いのです。
例)おままごとのおもちゃをフライパンに集めている
「ケーキは焼かないのよ」とフライパンから出したり、「切ってみよう」と他の道具に変えたりしてはいけませんよ。それは共同注意のスキルが育ってから。
「いっぱい集まったね」と一緒に集めてみましょう。大人も同じフライパンに入れてよければ入れてみたり、ダメであれば別のフライパンやボウルに集めてみたり。その中で大人が入れる→子どもが入れるとやりとりを促してみたり、「おいしそう、あーん」や「大きくて入らないから切ってみよう」など声をかけてみても良いでしょう。これも他の遊び同様に、子どもが興味を示しているならその遊びを続けてみます。興味を示さなければその日はフライパンに色々な物を入れて「たくさん焼けたね、おいしそう!」で良いのです。
療育現場でよく出会う子どもの行動を参考に書いてみましたが参考になったでしょうか。
二項関係から三項関係へは大人のアドリブ力と発想力が大切です。遊びの引き出しをたくさん増やして楽しく三項関係、共同注意の力を育んでいきましょう。