児童発達支援と放課後等デイサービス
他、療育施設との違いを素人目線でわかる解説

お子様の発達や社会生活に躓きを感じた時にインターネットで調べると「児童発達支援」「放課後等デイサービス」と言う福祉サービスが出てきますよね。
近年では「療育」という言葉の認知が進み「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」という言葉を聞く機会が増えましたが、身内や友人に発達の凸凹を感じて、初めてその言葉に触れる方も少なくないのではないでしょうか。

療育は病院や市町村の子育てサポート広場でも受けられますね。どこで受けるのが良いの?なにが違うの?そんな疑問に初めて言葉を聞く人でも分かる視点で解説していきます。

MENU
児童発達支援
 −児童発達支援を使える対象者
 −児童発達支援センターと児童発達支援事業所
 −児童発達支援で受けられる支援

放課後等デイサービス
 −放課後等デイサービスを使える対象者
 −放課後等デイサービスで受けられる支援

療育施設ごとの違い
 −対象者の違い
 −支援員の違い
 −療育内容の違い
 −費用の違い
 −療育時間や回数の違い

必要な支援に合った療育を選ぼう

児童発達支援

児童発達支援は未就園〜年長児(6歳を迎えた3月末日)のための福祉サービスです。サービスを受けるためには各市町村への申請が必要で、それによって療育の必要性が認められ「通所受給者証」が発行された幼児が対象です。なお、通所受給者証の取得には、明確な障がいの診断名や療育手帳の取得は必要がないため、必ずしも発達障がいの幼児が利用するサービスとは限りません。

「児童発達支援」とは利用者ひとりひとりに対して必要な支援を計画し、個別または集団で療育を行うサービスです。支援は「健康・生活」「運動・ 感覚」 「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5つの領域を網羅し、かつ利用者個人のニーズに合わせた計画書を作成して行うことが求められます。また本人への支援とは別に、家族への相談や支援、地域生活への移行のための支援なども求められており、主に本人やその家族に関わる直接的な支援を行なうサービスを「児童発達支援」と言います。

 児童発達支援を受けられる施設として「児童発達支援事業所」と「児童発達支援センター」 があります。「児童発達支援事業所」では上記の児童発達支援のサービスを受けることができます。対して「児童発達支援センター」では上記の児童発達支援のサービスに加えて、対象児の幼稚園や保育園を訪問して地域での生活を支援したり、保護者と地域、児童発達支援事業所をつなぐ役割となる「障がい児相談支援」を受けることができます。また、「児童発達支援センター」は福祉型と医療型に分かれており、医療型では肢体不自由児を対象とし、療育とは別に医療的な治療を受けることもできます。

放課後等デイサービス

児童発達支援と放課後等デイサービスの一番大きな違いは、対象者の年齢です。放課後等デイサービスは小学生から高校生(18歳を迎えた3月末)を対象としています。児童発達支援と同様、各市町村から受給者証を発行された者が対象となりますが、自治体によっては学校生活での支援学級への在籍や障がいの診断の有無を受給者証発行の基準としている自治体もあるため、受給者証取得へのハードルは少し高くなる可能性があります。

放課後等デイサービスで受けられる支援も、児童発達支援と同様に5つの領域を網羅して作成された支援計画に基づき実施されます。また(1)自立支援と日常生活の充実のための活動 (2)創作活動 (3)地域交流の機会の提供 (4)余暇の提供をすべて含めた包括的な支援を提供することが求められています。

他の療育先との違い

療育を受けられる場として認知が広がりつつある児童発達支援・放課後等デイサービスですが、他にも医療機関や市町村の指定外の療育施設など様々な施設で療育を受けることができます。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

対象者の違い

児童発達支援・放課後等デイサービスを利用するためには「 障がい児通所受給者証」(以下、受給者証)の取得が必須となります。これは各市町村の担当窓口(障がい福祉課など)で所定の申請をすると発行される物ですが、取得には療育の必要性を認められる必要があります。
医療機関での療育では、各医療機関に在籍する小児科医やリハビリテーション科医が療育を必要と判断した者が対象となります。
児童発達支援・放課後等デイサービスが市町村の指定を受けて運営している事業所であるのに対して、指定外の療育施設も存在します。つまり療育を提供する塾の様な立ち位置で、制限はなく誰でも利用できる療育です。

支援者の違い

児童発達支援・放課後等デイサービスでは児童発達支援管理責任者1名以上と児童指導員2名以上(利用者10名に対して)を配置することが義務付けられています。児童指導員には保育士、幼稚園や学校の教諭、心理士、理学療法士をはじめとするセラピストなど幅広い資格が該当します。また無資格で2年以上の実務経験を有する者も児童指導員に該当します。
対して医療機関では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など医療現場で活躍するリハビリセラピストが支援者となることが多いのではないでしょうか。
指定外の療育施設では、医療機関や児童発達支援などで豊富な経験を有する者が在籍していることが多い印象ですが、明確な基準はありません。

とはいえ「1年目の有資格者より10年目の無資格実務経験者」と言う場合もあります。どれだけ経験豊富でも利用者との相性もあり、支援者の性格も様々です。それぞれに基準は設けられていますが、実際には保護者の目で見て「信頼できる人か」を判断していく必要があります。

療育内容の違い

個別療育については、児童発達支援や放課後等デイサービスと医療機関で大きな違いはない場合が多いでしょう。医療機関では理学療法、作業療法、言語聴覚療法など個別療育が多い傾向で、児童発達支援や放課後等デイサービスではそれぞれの事業所の特色で提供している療育に差があります。つまり作業療法を受ける場合、医療機関でも児童発達支援でも同じように作業療法を受けることができます。
しかし、児童発達支援や放課後等デイサービスでは「作業療法士が管理の下、児童指導員が指導に当たっても良い」とされているため、指導員が作業療法士ではない可能性もある点を注意しましょう。
個別療育ではなく集団療育を希望する場合は医療機関での実施は少ない傾向にあるため、児童発達支援・放課後等デイサービスを選択することが多くなります。
また、児童発達支援・放課後等デイサービスでは本人への支援とは別に家族への相談支援や地域生活への移行を支援することが求められているため、より包括的に生活に寄り添った支援を受けられる可能性があります。
指定外療育施設では利用条件に制限が設けられていない分、より個人に合わせて長期で受けられる可能性があります。

費用の違い

費用面では各サービスで大きな違いがあります。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは原則として利用料の1割負担ですが、世帯の収入によって上限金額が設定されます。利用料は事業所の所在地や療育の実施時間、在籍している支援員により差がありますが、おおよそ1回あたり1万円前後となります。

1回の利用料1万円の場合
月8回の利用で 10000円✕8回=80000円
1割負担のため 80000÷10= 8000円
上限金額0円の場合 → 0円
上限金額4600円の場合 → 4600円
上限金額 37200円の場合 → 8000円

それぞれ上記の金額が保護者負担の利用料となります。ちなみに差額の数万円は各市町村から事業所に給付金が支払われます。
医療機関では医療保険による医療費が適用さるため、3割負担となります。各市町村が実施している医療費助成制度も適応されます。そのため市町村にはよっては月に0円〜1000円ほどで療育を受けることができる場合もあります。
指定外の療育施設は塾のような立ち位置となるため、全額実費負担となります。療育施設によって費用の幅は大きく、1ヶ月当たりの費用は数万円になることが多いです。

療育時間や回数の違い

児童発達支援・放課後等デイサービスでは1回の時間が最低30分を超える基準があり上限はありません。しかし子どもへの負担を考え、個別療育は45分〜1時間程度、通園や登校後の集団療育は1時間〜2時間程度になることが多いでしょう。月の利用回数は受給者証に記載された日数を利用することができ、市町村によって差が大きいため確認が必要です。
医療機関では40分や60分で設定されることが多いでしょう。月に2回〜4回程度利用できることが多い印象ですが、飽和状態にあり予約のとりにくさがある地域も多いようです。
指定外の療育施設では上限等はありません。

自分に合った療育先を選ぼう

児童発達支援
・0歳〜年長児が対象
・受給者証を取得している者
・受けられる支援は事業所によって異なる
・家族の相談や地域との連携を図る支援が受けられる
・費用は所得によって異なる

放課後等デイサービス
・小学1年生〜高校3年生が対象
・受給者証を取得している者
・受けられる支援は事業所によって異なる
・家族の相談や地域との連携を図る支援が受けられる
・費用は所得によって異なる

医療機関
・年齢制限はなく対象は医師の判断による
・受けられる支援は医療機関によって異なるが、リハビリテーション扱いとなる個別療育が多い
・家族への支援については定義されておらず、医療機関ごとに異なる
・費用は医療保険による医療費に準じ、市町村の医療費助成制度も使用できる

指定外療育施設
・制限なくどんな人でも利用できる
・長期で利用することも可能である
・受けられる支援は事業所によって異なる
・費用の補助や保険が適応されないため高額になることもある

各施設、様々な資格の支援員が在籍していますが、実際に目で見て相性を確認し、信頼できる事業所と支援員を探しましょう!

関連記事はこちら

児童発達支援と放課後等デイサービス 不正多発の時代!?正しい事業所の見分け方を解説
2025/8/19