児童発達支援と放課後等デイサービス
不正多発の時代!?正しい事業所の見分け方を解説

お子様の発達や社会生活に躓きを感じた時にインターネットで調べると「児童発達支援」「放課後等デイサービス」と言う福祉サービスが出てきますよね。
近年では「療育」という言葉の認知が進み「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」という言葉を聞く機会が増えましたが、身内や友人に発達の凸凹を感じて、初めてその言葉に触れる方も少なくないのではないでしょうか。

巷では放課後等デイサービス事業所の不正受給による指定取消や給付金の返還命令などのニュースを耳にすることが増えました。事業所を選ぶときには不正がない事業所が良いですよね。児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインをもとに、正しい事業所の見分け方を解説します。

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事業所運営の仕組み
 −基準報酬と加算
 −利用者負担と給付金

正しい運営の観察ポイント
 −児童発達支援管理責任者が在籍しているか
 −支援計画は子どもに合わせて作成され説明を受けているか
 −6カ月に1度以上の面接があるか
 −サービス提供実績記録票と利用実績は一致しているか
 −明細書や給付金の受領通知は出しく発行されているか

信頼できる事業所と出会うために

事業所運営のしくみ

基準報酬と加算
児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所(以下、事業所)の運営は、立地や事業所の規模、支援の実施時間によって基本報酬が決められています。それに加えて、支援時間の延長や有資格者の在籍、専門的な支援の提供、保護者や兄弟、地域生活へ支援などを行ったことに対する加算を積み重ねて利用者1人1回当たりの報酬が決まります。
1日の利用人数は支援員の配置によって上限が決められているため、利用者(つまりお客)を増やすことには限度があります。加算が多ければ多いほど1回当たりの報酬(つまり客単価)が上がるため利益につながりやすいということになります。

利用者負担と給付金
この報酬のうち1割が利用者負担とされます。しかし所得によって月の上限金額が定められており、多くの利用者はその上限金額の料金を支払っています。事業所は残りの9割もしくは上限金額を上回った残りの報酬を市町村から給付金として受け取ります。
そのため月の利用回数が普段と違っても支払う金額が変わらないことが多いのです。不正に請求が行われていても、支払う金額が変わらなければ請求の内訳にまで視点が向きにくいもの。不正が行われても利用者が気づきにくい原因の1つとなっていると推察できます。

正しい運営の観察ポイント

児童発達支援管理責任者が在籍しているか
児童発達支援管理責任者とは所定の資格と経験を経て、かつ研修とOJTを修了した支援員が有する資格です。事業所には必ず1名以上の配置が義務付けられていますが、人員不足で確保が難しい事業所も少なくありません。不在の場合は報酬が減算されますが、それだけではなく長期に不在となると事業所の運営自体が危ぶまれるため、過去には勤務実績がない職員を申請して指定取り消しとなった事業所もありました。
これは制度上の問題だけではありません。児童発達支援管理責任者に該当する支援員がいないということは、条件を満たせる経験を積んだ支援員がいないと言うこと。支援の質の点からも注意が必要です。

児童発達支援管理責任者は誰か確認してみる

支援計画は子どもに合わせて作成され説明を受けているか
支援計画は児童発達支援管理責任者がその子どもの得意なことや課題を検討しながら、言語や認知、運動、社会性など決められた5つの領域を網羅する内容で、ひとりひとり個別に作成する事が義務付けられています。いわばオーダーメイドの説明書のようなもの。しかし、多忙な業務の中でオーダーメイドの書類作成をする事はかなり負担が大きく、テンプレートやチェックボックスなどで作成されている場合もあります。書類が作成されている以上、法定違反にはならないものの、療育を行う上で非常に重要な書類であるためチェックしておきたいところです。

支援計画は簡単すぎたり難しすぎたりせず、自分の子供に合った内容が書かれているかよく読んでみる

6カ月に1度以上の面接があるか
上記の支援計画は、6カ月に1度以上の頻度でモニタリングを行い支援の見直しをする事を義務付けています。具体的には支援計画に基づいた面接等が6カ月に1度以上行われている必要があります。支援員の視点だけで支援計画をたてるのではなく、本人の生活や保護者のニーズが反映されるよう面接の機会を持ち、コミュニケーションが取れている必要があります。

支援計画に基づいた面接の頻度を確認する
現行の支援計画の期限が切れていないか確認する

サービス提供実績記録票と利用実績は一致しているか
サービス提供実績記録票とは、毎月の事業所利用について日付と時間、加算について記載されているものです。利用者は利用日ごともしくはひと月の最後に確認します。事業所はサービス提供実績記録票の内容に基づいて給付金の請求を行います。過去には利用実績以上の日数を利用した事にして給付金の申請を行い、指定取消となった事業所もあります。

明細書や給付金の受領通知は正しく発行されているか
明細書には基本報酬や加算の算定日数が記載されており、市町村にどのような請求がされているのか確認する手段です。また、受領通知は事業所が市町村からどれくらい給付金を受け取っているかを確認することができます。
どんな加算がつけられていることが正解なのか、どれくらいの給付金が妥当な額なのかなど、利用者には分かりにくい事が多く、自分が支払う利用料には影響しないため確認をしない人も多いですが、不正が一番起こりやすいお金の話。しっかり確認しておきましょう。

サービス提供実績記録票は実際の利用日と一致しているか確認する
利用料が0円や上限金額でも明細書を見て、覚えのない加算が申請されていないか確認する
給付金の受取額が正当か確認する(おおよそ1回当たり1万円前後で計算した額より大きくズレていないか)
加算や給付金について分からないことは責任者に聞いてみる

信頼できる事業所と出会うために

日々療育にあたっている支援員が懸命で良い人であれば、児童発達支援管理責任者が不在であったり、支援計画がテンプレートで作成されていてもあまり気にならない人もいると思います。また、お金の話は分かりにくく、特に無償化や上限金額により支払額が変わらないと、興味を持ちにくいとも思います。しかし、

 余分にお金をもらってズルいけど良い先生達だし…
 きっと先生が悪いのではなく会社が悪いのだし…

で済む話ではありません。万が一不正があるということは、ある日突然、指定取消となり療育先がなくなってしまうリスクを抱えているということ。制度や基準について知り、信頼できる事業所を見つけましょう。

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